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教育情報2019/08/01 13:00
【連載】ぬまっち先生に直撃#4

子どもたちとの信頼関係を築くには? <後編>~カリスマ小学校教諭・ぬまっち先生に直撃!~

先生と子どもたちの些細な会話から プロジェクトが発足!

――(インタビュー途中で)先ほどから気になっていたんですが、この作品(写真上)、とても見事で、これも子どもたちが「プロジェクト」を立ち上げて作ったものですか? 

これは来月(取材は2019年3月中旬)入学する、新1年生を歓迎するために作ったものです。僕は、「手伝うのが面倒から、ちゃんと自分たちでやってね」と言って(笑)。ただし、高いところへ貼り付けたりするのは危ないから先生がやるよ、と。
そしたら、1週間くらいで作り切っちゃいました。すごいですよね。

 ―― 先生との約束をしっかり守ったうえ、小学1年生が1週間でこの作品を作るなんて……本当にすごいです。ちなみに、この真ん中のお魚は? 

サンマです。じつは、このクラスでサンマのプロジェクトがあったんです。「サンマフェス」と命名して。
発足理由も些細な会話からで、たまたま僕がサンマを食べたという話をしたんです、美味しかったって。そしたら、みんなで食べようという話になり、「魚が上手に食べられる大人はかっこいい」と言ったんです。すると、子どもたちが「骨をきれいに取り出せたらモテる?」と聞くので、「モテるぞー!」と言うと、男の子たちが「絶対やりたい!」って(笑)。
それで、2週間後に「サンマをどれだけキレイに食べられるか」というフェスを開催することにして、各自自由に練習しました。制限時間40分、手と箸は使っていい、それ以外は使ってはダメというルールで、できないといって泣いたら失格と。 

―― 日常の些細な会話からプロジェクトが発足されるとは驚きです。 

その「サンマフェス」を発足した日から、みんな普段あまり青魚を食べないのに、「ママ、サンマ食べたい」と言って、お母さんたちも「なんで?」と驚かれたようです(笑)。しかも、「骨をとってあげる」と言っても、「いい、自分でやる!」と。
そこから、自分でサンマの骨を取って食べるようになり、多い子は2週間で平均4回食べていましたね。ちなみに、フェスの前日は21人がサンマ食べて最後の調整。骨を取るにもそれなりのテクニックが必要なので、お箸もしっかり使えるようになったようです。
フェスが終わった後は、サンマに手紙を書いて、「私のために釣られてくれてありがとう」とか、「とってもおいしかったよ、子どもができたらまた食べさせてね 」とか、想像力も働かせられるようになった子もいれば、生き物の命の大切さに改めて気づいた子もいました。

何があっても助けてくれる―― そう思ってもらえる関係性をつくる 

―― 子どもたちと沼田先生との間に確かな信頼関係性ができていないと、いくら「しかけ」を作ったとしても、うまくいかないのではないかと思うのですが、子どもたちと接する際、意識していることや気を付けていることがあれば教えてください。 

子どもたちにとって一番怖いのは先生に怒られることだと思うんです。だから、僕は必ず最初に2つだけ約束します。 

ひとつは嘘をつかないこと。もうひとつは、危ないことをしないこと。危ないことというのは、明らかに体にケガを負うようなことです。  

すると子どもたちは、「もし失敗しちゃったって言ったらどうするの?」と尋ねてくるので、「あっそう、って言うと思うよ。次どうしたらいいか、自分でちゃんと考えて、って」と。その2つの約束事以外は怒りません。
そのスタンスでいると、だいたい2~3ヶ月経つ頃から、自らトコトコやってきて、「先生、隣のクラスの人と喧嘩をしちゃいまして、ぶっちゃいました」って正直に言ってきたりするんですね。それで、「どうしたの?」と尋ねると、「謝りました」と。「解決したの?」って言ったら「しました」と。じゃあいいや、ってなるわけです。次は気を付けよう、と。 

以前、小学1年生の担任をしていたときに、僕のクラスの男子生徒が2年生の男子生徒に一方的に手を出されたことがあったんです、しかもメガネが壊れるくらい。僕の生徒は相手よりも体がかなり大きく、喧嘩も強かった。だから、やり返していたら大変なことになっていたのですが、我慢してやり返さなかった。教師という立場上、やり返してはいけないと教えていますが、それではこの子の気持ちが収まらない。普段から子どもたちには、「俺がやり返すから、やり返すな」と言ってあったので、その約束を守ってくれたわけです。
その時は、僕がその2年生の子に、「俺さ、この子にやり返すなって教えているんだよ。もしやり返されていたら、めちゃくちゃ痛いよ、この子のパンチ」 と言いまして。喧嘩強いって褒められたので本人は満足げでした(笑)。その後、ご家族にも報告したようで、お母さんは「偉かったわね」と。お父さんは「やり返さなかったのか?」と最初は言ったそうですが、生徒が「ぬまっちがやり返してくれたから」と言うと、「うん、そういうことか」と納得されたようです。 

―― 子どもたちにとって、何があっても味方でいてくれると思える人がいるのは、本当に心強いですよね。だからこそ、安心して失敗できるし、嘘をつく必要もない。包み隠さず話せる関係、とても素敵だと思います。 

誰にでも、失敗や間違いはあるので、嘘をついたり隠したりせずに、正直に打ち明けて謝罪し、反省して、同じような失敗や間違いをしなければいいと思っています。
そのためには、いつでも正直に言ってもらえるように、「嘘と危険なことをすること以外は怒らない」、そして「何かあったら大人が助けてくれる」という安心感とでもいいますか、そういうことが大事なのではないかと。 

勉強においても生活においても、何をするにしても最初に「約束」します。そして、お互いが約束を守ることで徐々に信頼関係ができていきます。 

子どもたちの自主性というのは、その信頼関係が成り立っているうえで、先にもお話しした「しかけ」が活きてくるのではないかと思います。

お話をうかがったのは… 

沼田晶弘(ぬまた・あきひろ) 

国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭、学校図書生活科教科書著者。 東京学芸大学教育学部卒業後、渡米。インディアナ州立ボールステイト大学大学院スポーツ経営学修士課程修了。同大学大学院在籍中にアメリカ・インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。同大教員などを経て、2006年より現職に。著書に、『「やる気」を引き出す黄金ルール』(幻冬舎)、『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』、『「変」なクラスが世界を変える』(共に中央公論新社)、『自信が持てる子の育て方』(あさ出版)などがある。

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