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教育情報2019/05/15 18:30
【連載】ぬまっち先生に直撃#2

世界一のクラスをつくるカリスマ小学校教師・ぬまっち先生に直撃! 「子どものやる気」を引き出すには?

ご褒美は主体的に取り組むための“着火剤”。大切なのは火を消さない「薪」を与えること

――沼田先生流81マス計算や、TVなどで紹介されて話題の「ダンシング掃除」など、先生が指導される生徒の皆さんは、さまざまなことに自発的に取り組まれている印象を受けます。一体どのようにして、子どもたちの“やる気”を引き出されていらっしゃるのでしょうか。

色々な方から、よく、「どうしたらやる気や意欲を出せますか?」と聞かれるのですが、一言で申し上げると、“そんな簡単に説明できるものではない”ということです。

大切なのは、子どもが勉強したくなる仕組みを作ること。それが、ご褒美なのか、それとも他のものなのかは別として。実は、僕、ご褒美を使うことは、決して悪いことではないと思うんですよ。「ご褒美ばかり使って~」なんてツッコミが入りそうですが(笑)、きっかけづくりとしては必要なものだと考えています。

――自分の幼少期を思い返すと……成績が上がると欲しいものを買ってもらえるとか、そういうことがモチベーションになったこともありました(笑)。

ですよね?(笑) ただ、そこでひとつ注意しなければならないのは、ご褒美を与えるだけで終わらせてしまわないこと。

例えば、キャンプで食事を作るとしましょう。その際に、火が必要になりますよね。その火をつけるとき、最初に何を使います? たいていの人は、新聞紙などの火が付きやすいものを使われるでしょう。子どもたちにとって、「ご褒美」とは、キャンプで火を起こすときの「新聞紙」なんですよ。
新聞紙は、火をつけたら、ぼわ~!って燃えますが、またすぐに消えてしまう。ご褒美も同じで、一瞬やる気が出ても、すぐに失せてしまう。着火のための道具にすぎません。つまり、この新聞紙についた火を長時間維持するためには、今度は薪のように燃え続けられるものに点火しなければならないのです。

このプロセスをスルーして、気合だけでライターでいきなり薪に火をつけようとすれば、ただ火傷をするだけ(苦笑)。子どもたちに対しても、いきなり内から出てくるやる気を引き出そうとしてもなかなかうまくいかないのは、これに似ていると思うんです。燃えるものがないのに火はつきませんから。

――確かに、ご褒美はもらったらそこで終わり。その先にまたご褒美がないと継続して勉強し続けるのは難しい気がします。その後はどうしたら良いのでしょうか?

僕の場合、まず、新聞紙だけでなく、燃えるものがあれば、段ボールでもなんでも使います(笑)。それが、「U2」の場合であれば、設定タイムを切ったときのシールだったり、ライセンスだったり。それを繰り返していくうちに、最終的にU2の最速の生徒はシールを欲しがらなくなるんです、「筆箱にもう貼るところないし」って(笑)。

その「欲しがらなくなるとき」というのは、別に貼る場所がなくなったからとか、たくさん集めたから、というのが理由ではなく、次の“やる気”の動機ができるからなんですね。何かというと、いかに速いタイムを出せるか。もう、タイムしか見ていないんです。

そこの切り替えが大切で、例えば、ラクラク1分切れる子が、59秒でシールをもらいにきたときに、「え? 50秒切れるのに、今日は59秒でシールもらいに来るの?」と言います。そうすると、「じゃ、もう1回やる!」と言うんですね。その次からは、何が何でも50秒切るように真剣に取り組んでくる。プライドが生まれるんです。この時点で、ご褒美に頼らず、主体的に取り組む姿勢に切り替わります。

この一連の流れを考えることが大切だと思うんですよね。それこそご家庭でも、「薪に火をつけ続けるために」例えば、勉強を見てあげる際に、丸つけをするならイラストを描いてあげるとか、オリジナルのハンコを作って押してあげるとか。タイムアタックを仕掛けてみるとか。薪に火をつける着火剤の役割は、ぜひ保護者のみなさんにも積極的にしていただきたいですね。

難しいこともしかけ次第で楽しくなる

――先生のクラスでは、子どもたちが漢字の勉強も熱心にされているようですが、同じようにしかけを?

僕のクラスの子どもたちは、漢字のテストを「楽しい」と言ってくれています。漢字のテストのことを「KG3」と呼んでいるのですが、「KG(ケージー)」は漢字の略、「3」は「N1※1」、「U2※2」があったので、KGに3をつけようということで、名前が決まりました。そこから、「じゃあ、3週連続でライセンスつけよう」と。 漢字(KANJI)なので、「KJでは?」とも思ったのですが(笑)、子どもたちがせっかく命名したのでそのままにしています。

担当している1年生のクラスでも(2019年3月中旬取材時)、「今日はちょっと時間ないから、KG3は無しね!」って言うと、「え~!」と残念がる子どもたちが多いんですよ。「U2」のように最初はゲーム感覚でやっていく子が多いように思います。

テストの内容は、僕が黒板にばーっと平仮名で文章を書き、子どもたちが習った漢字で該当するものを答案用紙に書いていくという、いたってシンプルなものです。

習っていない漢字については、横に線を引いておきます。それ以外の漢字にできる部分はすべて漢字にするので、例えば「てんきはあめ」ならば、「天気」と「雨」の2つを1問で書かなければなりません。1回のテストで60個程度出題するのですが、1年生が習う漢字は約80個ですから、週1回「KG3」を行っているので、毎週1年分の漢字を練習しているわけです(笑)。

――とても難しそう……ですけど、ライセンスをもらえるとなると、がぜんやる気が出ますね! 毎週これだけ漢字を練習し続けたら、6年経つとすごいことになっている気がします。

日本で一番難しい漢字テストだと思いますから、これを1年やり続けていくと、最後の1回、2回は満点の人が何人か……35人学級で25人だったかな? その学年のレベルに合った級の漢字検定には受かると思いますよ。

高学年になると漢字が難しくなる上、それまで習った漢字をすべて変換しなければいけないというテストなので、かなり難しいと思います。

ただ、そこもやりかた次第。出題したい漢字の組み合わせを考えて文章を作ると、日本語がおかしくなることがあるんですね。

例えば、「『初』めての『小麦粉』」とか、「『先生』が『図書館』で生まれた」とか。もう日本語がわけがわからない感じになって、子どもたちは爆笑するんですけど(笑)、そこから、「初めて小麦粉を食べた、ということは赤ちゃんのことなのかな?」とか、「先生、図書館で生まれたの?」「病院に決まってるじゃん」とか、いろいろとイメージが膨らんできて、ただひたすら漢字を書き続ける練習だと苦痛に思う子も、出題の文章次第では楽しくなってくる。

――その出題の文章が難しいと思うのですが、もし自分で作成するとしたら、何かポイントはありますか?

簡単にいうと、ファンタジーであることが大切なのではないか、と。

「うんこドリル」を例に挙げさせていただくと、まず「うんこ」というキーワードがとても面白いですよね。さらにそこから、うんこを擬人化してみる。例えば、「高速道路でうんこが生まれた」とすると、「え? うんこって人なの?」「どうやって高速道路に落ちていたの?」となる(笑)

――確かに! 自分で歩いて高速道路に入ったのか、誰かが捨てたのか…。「うんこの旅」なら、食べたものが胃、小腸、大腸を通って……なんて考えていくと、理科にもつながりますね。

そうやって想像がどんどん膨らんでいきますよね。すると、同じテストやドリルをやっていても、なかなか飽きがこずにやり続けられるんです。

先に、「KG3」をやらないと言ったら、子どもたちが残念がったとお話しましたが、「U2」も休み時間に入ると、「U2やろうぜ~!」と、サッカーをするのと同じ勢いでやっていますよ。取り組んでいるのは勉強なのに、遊んでいるのと同じように楽しみながらやっている。

このように、“やる気”を引き出すといっても、いろいろとしかけ作りをしますし、また、一人ひとり個性や考え方、ツボなども異なるので、一概に「これをやれば、やる気が起きる!」という正解があるわけではありません。

それでも、ご褒美のようなもので火をつけてあげて、その火をうまく点火し、火を灯し続けていく――このプロセスを試行錯誤しながら試していけば、きっと何かしら手がかりがつかめるはずです。

大切なのは、何のきっかけも与えずに直接的に「自主性」を持たせようとするのではなく、上記のプロセスの中で、子どもが自らやりたくなるようなしかけを作っていくこと。外発的な動機付けから、内発的な動機付けに変化していけるよう、保護者のみなさんが子どもたちに寄り添い、伴走者のように一緒に取り組んでいっていただきたいですね。
もちろん、僕たち教師も頑張りますよ!

※1……「Notebook for the one」の略。学級通信の名前が「The One」で、自分のノートのこと。日記。
※2……Under 2minutesの略で、沼田式「81ます計算」のこと。大音量をかけることで高揚感と集中力を高める。ゲーム感覚でできて、子どもたちに大人気。

お話をうかがったのは…

沼田晶弘(ぬまた・あきひろ)

国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭、学校図書生活科教科書著者。
東京学芸大学教育学部卒業後、渡米。インディアナ州立ボールステイト大学大学院スポーツ経営学修士課程修了。同大学大学院在籍中にアメリカ・インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。同大教員などを経て、2006年より現職に。著書に、『「やる気」を引き出す黄金ルール』(幻冬舎)、『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』、『「変」なクラスが世界を変える』(共に中央公論新社)、『自信が持てる子の育て方』(あさ出版)などがある。

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