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教育情報2019/04/10 11:30

【連載】 2020年教育改革:新学習指導要領で何が変わる?~〝世界一のクラス″をつくるカリスマ教師・ぬまっち先生に直撃!~

学びの本質は変わらない。より’’わかりやすい表現’’に変えただけ

――いよいよ2020年から新学習指導要領が導入されます。不安に思う保護者も多いと思うのですが、小学校では何が変わるのでしょうか。

具体的な変更点について、保護者の方が不安に思う必要はないと、個人的には思っています。

というのも、小学校においては、3・4年生の英語活動と、小学5・6年生の英語の教科化、プログラミング教育の導入などはあるものの、本質的に大きな変更はないからです。もちろん、英語の授業時間が追加されるので、6時限の日が増えるなど授業時間の変化はあります。

今回の教育改革は、これまで世の中に普及させようと努めてきた内容をより多くの方々に認知してもらうために、「表現をよりわかりやすくした」というものだと、僕は理解しています。

たとえば、今回の教育改革でポイントのひとつとなる「主体的・対話的な深い学び」。これは、教員が一方的に授業をするのではなく、子どもたちが主体的に取り組むことを指しますが、勉強って、そもそも主体的である以外に何があるのだろうか、と。

以前、使われていた「アクティブ・ラーニング」という言葉も、ラーニング自体がアクティブなものなので、あえて言う必要はないと思っていました。これは、中学や高校で一方的に話す講演方式のような授業が問題視されて生まれたという背景がありますが、小学生はもともとアクティブなので(笑)、必要ないんですよ。

勉強でもなんでもそうですが、そもそも自分の意志がないと、あまり記憶には残りません。つまり、主体的に取り組まないと身に付かないということです。

結局、新学習指導要領に書いてあることを要約すれば、「自分で勉強しようよ」っていうことなのだと、僕は理解しています。

勉強したいと思わせるしかけ作りが大切

――これまでずっと言われてきたことを、今改めて置き直しているだけ、ということでしょうか。

「勉強しようよ」、「勉強は大事だよ」っていくら言われても、残念ながら自分で勉強する人なんてほとんどいません(笑)。ごくまれに、自ら進んで勉強する人はいますが、割合は圧倒的に少ない。

大切なのは、子どもたちが「どうしたら勉強をやるようになるのか」、「勉強をやりたくなるにはどうしたら良いのか」ということを常に考え、自ら勉強したくなるようなしかけを作ってあげることです。

たとえば、この「うんこ漢字ドリル」のような子どもが興味を持ちそうなものを与えたり(笑)、僕がクラスで取り入れている「U2※」のように自ら学ぶシステムを作ってみたり。

※U2……Under 2minutesの略で、沼田式「81ます計算」のこと。大音量をかけることで高揚感と集中力を高める。ゲーム感覚でできて、子どもたちに大人気。

新しい学習指導要領がどう変わるのか、何を準備しておけばいいのかということは、心配する必要はありません。細かい内容は専門家、教師に任せればいいんです。あらゆる情報を一生懸命入手して、綿密に対策を立てて……なんてことをやるよりも、「勉強したくなるようなしかけ」を作ったほうが効果的ですし、自ら進んで学習するほうが身に付くのも早く、遥かに近道だと思います。

新たに英語やプログラミング教育も加わり、学習内容が増えるので、この機会に、ぜひそのしかけ作りに注力していただきたいですね。


英語は「学ぶ」ではなく「慣れる」程度。学校の授業と宿題をやるだけで十分!

―― 教育の本質は大きく変わらないというお話を伺って、かなり不安が解消された気がします! とはいっても、英語は教科化されて成績がつくようになるので、もし何か準備しておいたほうがいいことがあれば教えてください。

英語の導入については、少しでも小さい頃から慣れておけば、英語嫌いを減らせるのではないかという考えが根本にあります。

ですから、英語を本格的に学ぶためというよりは、英語に「慣れる」ために導入されたととらえていただいていいと思います。中学校に入る前に、とりあえず耳を慣らしておこうね、という。

小学生はまだ聴覚が発達している途中なので、個人差はあるものの、英会話や音楽などの学習が有効と言われています。また、年齢を重ねると恥じらいが出てきて、人前で発音の練習がしにくくなる傾向にあるので、羞恥心がまだあまり芽生えていない小学生の時期からやっておくといいということもあります。

そのため、学校の授業で教わることと、宿題さえやっておけば、塾や英会話に通わなくても困ることはありません

あくまでも僕の考えですが、今は色んな言語を変換してくれる便利なツールが多く出てきているので、ゆくゆくは英語が話せなくてもコミュニケーションを取れる時代がやってくるのではないか、と思っています。

ただ、そうはいっても、その国の歴史的背景や文化、価値観などを知らなければ、深いコミュニケーションは取れないと思うんです。それらを知ることで英語をはじめとする外国語への興味がわき、その言語への理解も深まり、ひいては語学の上達につながります。逆も然りで、語学がきっかけで世界の多様な価値観や文化、歴史に興味を持つと、他教科の学習意欲の向上にもつながるかもしれません。

また、ツールを使って会話をすると時間差が生じるので、スピーディーに話さなければいけない仕事を希望するなら、もちろん話せたほうがいいですよね。

今後、日本がますますグローバル化し、いろいろな国の人と一緒に働く機会も増えていくと思いますから、早いうちから「慣れておく」ことは語学の上達において効果的ですね。

論理的思考力は日常生活で育まれるもの。国語と算数はしっかりやっておくべし。

――「プログラミング教育」とは、どのようなものなのでしょうか。

プログラミング教育では、論理的思考力を育てると言われています。AになったらBになって、最終的にCになる、といった目的までの道筋を立てる習慣をつける。

成績がつくものでもなく、触る程度なので、恐れるに足らずです。

各教科に、このプログラミング教育が導入される予定ですが、プログラミングを通じて論理的思考力を育てる前に、まずは素地となる国語と算数をしっかり勉強しておいたほうがいいと個人的には思います。ベースがあったうえで、プログラミング的思考が活きてくると思うので。今のおとなたちが、論理的思考力がないかと問われれば、そんなことはないですからね。


――確かにそうですね。プログラミング教育を受けていなくても、論理的思考力がある人はありますよね。具体的にはどのようなことを学ぶのでしょうか。

まず、簡単なプログラムを作ります。そこから、打ち間違えたり、書き間違えたりするとプログラムは動かないので、「じゃあ、どうしたら動くのかな?」ということを考える。そして、そこから解決策を導き出す。これが問題解決学習と言われています。

まぁ、正直、普通に生きているだけでもいっぱい問題はあるので(笑)、それだけで十分じゃないかなと。

成績に関係すると思われる方も多いかもしれませんが、成績をつけるためのものではないので、本当にそこはあまり気にしなくていい……っていうのはおかしいですけど、気にしなくていいです。

プログラミング教育に関しても、論理的思考力を磨くための手助けとなれば、という程度で導入されているにすぎません。ただ、プログラミングをきっかけに得意になる子もいるでしょうから、将来の選択肢が広がるという意味でも、取り組んでおくといいのではないでしょうか。

今のうちにいっぱい転んで転び方と立ち上がり方を知ることが大事

―― 大きな変更点はないとはいえ、やはり不安に思われる保護者の方も多いと思います。そんなみなさんに、ぜひ沼田先生からアドバイスをお願いします!

誰にでも失敗や間違いはあります。ですから、そこできちんと反省して、次に同じような失敗や間違いをしなければいいんですよ。もちろん、同じ間違いが何回も続くようだと何か策を講じる必要があるかもしれませんが(笑)。

でも、親は失敗をよしとしないですよね。子どもが一度でも転ぶと、危ないからといって次に転んでもケガしないように、日本中の石ころを拾おうとします。それで、その石ころを全部拾おうとして疲弊してしまう。学校の先生も同じです。これでは、保護者も教師も身がもたない。

子どもが、失敗しないように、失敗しないようにと、危険を避ける手助けをしてしまう気持ちはわからなくもない。それでも、頑張ってチャレンジした結果の失敗であればいいと僕は思うので、あえて手助けはしませんし、そういう失敗ならどんどんしていい。まだその石ころ、つまり失敗が小さい今のうちであれば、傷も小さいし、治りも早いですから。
その転び方と立ち上がり方を教えてあげることこそが重要だと僕は思います。

【プロフィール紹介】

沼田晶弘(ぬまた・あきひろ)

国立大学法人東京学芸大学附属世田谷小学校教諭、学校図書生活科教科書著者。

東京学芸大学教育学部卒業後、渡米。インディアナ州立ボールステイト大学大学院スポーツ経営学修士課程修了。同大学大学院在籍中にアメリカ・インディアナ州マンシー市名誉市民賞を受賞。同大教員などを経て、2006年より現職に。著書に、『「やる気」を引き出す黄金ルール』(幻冬舎)、『ぬまっちのクラスが「世界一」の理由』、『「変」なクラスが世界を変える』(共に中央公論新社)、『自信が持てる子の育て方』(あさ出版)などがある。

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